日本最古の現役水力発電機、中部電力宮城第一発電所見学記
昨日の有明山神社神楽殿の格天井絵拝観のレポートに引き続き、今回は、順序は逆になりますが、その前に訪れた宮城(みやしろ)第一発電所の見学記です。
集合場所の有明山神社駐車場から徒歩15分ほどのところにある宮城第一発電所に向かう途中で、宮城第三発電所近くにある記念碑「安曇野電力発祥の碑」に立ち寄りました。
宮城第一発電所80周年記念の碑
安曇野の電力発祥の地
頌
有明山の麓なる宮城第一発電所
水車ならびに発電機ドイツ国より渡来して
このよき里に座を占める秀でし匠を友として
八十年の風雪を耐え抜きてただたゆみなく発電し
なお壮年の風情にて本邦最古を誇りとす
この比類なきいさおしは称嘆するに余りあり
機械に心ありぬべし愛機に寄りて労をねぎらう
思い出は尽きず願う言葉ただ一つ
愛機に永遠の幸を
中房谷OB会長 村澤龍二
(中部電力株式会社)
記念碑の裏面には、工事の関係者氏名が刻まれていました
この碑に向かって左側には100周年を記念して建てられた説明板があり、
そのすぐ後ろには放水路があります
記念碑からさらに歩いて、宮城第一発電所に到着です
建屋の壁にはこんなプレートが取り付けられていました
その傍らにも、こんな説明板がありました
発電所建屋の前で、中部電力のSさんから建設当時のお話を伺いました
建設当時の貴重な写真が保存されていたんですね
遠い異国の”独逸”から船に載せられた水車と発電機は横浜港に陸揚げされ、中央線や篠ノ井線の鉄路を汽車で明科駅に運ばれてからは犀川や穂高川を船で運ばれ、さらに馬車で中房川の谷あいにある宮城(みやしろ)の現場まで運ばれたということです
この発電所の下方にある第三発電所の水の取り入れ水槽が、宮城第一発電所の建屋の横に造られていました
そして、いよいよ発電所内部で日本最古の現役発電機とご対面です
定期的にメンテナンスを行っているから110年以上の長きに渡って使い続けられているのですが、
ちょうどそのメンテナンス中でした
手前が水車、真ん中がフライホイール、奥が発電機
お盆過ぎには動かして発電される予定だそうです
1903年製造
HEIDENHEIM(バイデンハイム、=都市名)の
J.M.VOITH(ホイト)社製水車
製造シリアル番号No.1433
中部電力がホイト社に問い合わせたところ、100年前の記録(仕様書)が見つかったのだそうです
これはそのコピー
100年前の製品の記録がきちんと保管されていたのもドイツらしい気がします
どこぞの国のどこかみたいに「廃棄」や「処分」、「隠蔽」はしていません^^
このプレートが付けられているのは、水車が中に入っているカバーなのだそうです
大変頑丈な分厚い鋳物だそうで、だからこそ今でも使用可能なのでしょう
現在は同様な製品はこの半分くらいの厚さなのだとか!
細かな部品は新しいものと交換しているそうですが、
川の水に混じる砂利の影響を受けるので、一般的には設備の寿命は60~80年だそうです
造りが丈夫なこの発電機は、長年にわたり手厚くメンテナンスを施されたために
「現在でも奇跡的に使用できている」と評されています
真ん中がフライホイール
その後ろの発電機は隠れていて写っていません^^;
質実剛健という言葉がピッタリの風格です
発電機に取り付けられたプレート
メンテ中のためプラスティックシートでカバーされていてよく見えないけれど、
なんとか「SIEMENS-SCHUCKKERT WERKE」という文字だけは読み取れました
あの、シーメンス社製なんですね
こちら、お隣の2号機は発電中でした
写真上の手前が発電機で、奥が水車、真ん中はフライホイールだったと思います
やはりシーメンスの文字がプレートに
この宮城第一発電所で発電された50Hzの電力は大町市にある大町電力所に送電されて
大町市の昭和電工で使われており、余剰電力は東京電力に送られているそうです
中部電力が電気を供給する長野県内は60Hzですから、50Hzだと一般家庭では使えないということですね
(最近の電気製品はほとんどがどちらのサイクルにも対応していると見聞きしたような記憶はありますが…)
60Hzに変換するためにはあらゆる設備を交換しなくてはならず、
特に山間部の険しいところに設置された送電塔とそれに架かる送電線の交換工事の困難さゆえに断念したのだそうです
当時の水力発電機はドイツ製とアメリカ製が世界最先端だったのだそうです
関西方面で採用されたドイツ製は50Hzで、関東方面で採用したアメリカ製は60Hzだったために、
日本で50Hzと60Hzが混在することになり、ちょうどその中間部に位置する長野県は
”微妙な位置”だったということで昭和30年代までは両方が混在していたようです
見学を終えて、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど、再生可能エネルギーについて、
もういちどじっくりと考えてみなければいけないと感じました
100年前の元気な発電機を見て、今度は100年、200年さらに
もっと先を見据えた未来を考えねばならないと痛感した見学会でした
東日本大震災の影響で福島の原子力発電所が今どうなっているのか、
廃炉には途方もない壁がいくつもあるということを、本当にわかっているのでしょうか、
真剣に考えているのでしょうか、「あんな人たち」は…(「こんな人たち」より)
エンディングはこの日見かけた野の花を3つ♪
有明山神社の駐車場で見かけたヤブカンゾウ
移動の途中の道端で見かけたキンミズヒキと、いくら調べても名前が分からない赤紫の花
なお、「有明山神社・神楽殿格天井絵」と「中部電力宮城第一水力発電所」はどちらも一般公開されていませんので、もし興味を持たれた方は安曇野市観光協会が行っている見学ツアーに参加されることをおすすめします。
年内は、8月23日(水)、9月23日(土)、10月28日(土)に予定されています。
※申込みは各予定日の10日前まで
詳細は、安曇野市観光協会公式サイトのこちらまで
※中部電力の宮城第一水力発電所 参考ページ
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