白馬村の白馬美術館でシャガールを鑑賞
25日の日曜日の朝。後立山連峰が白く冠雪しているのを見て、急ぎ大出公園へ行って三段紅葉の秋景色を楽しんで来たことは、先に記事にいたしました。そこに、別なお目当てがあって、と書いたのは白馬美術館収蔵のマルク・シャガールの版画を鑑賞したかったからです。宙を舞うカップルや動物、現実離れした鮮烈な色彩など、その幻想的な作品は多くの美術ファンを魅了していますし、名前は知らなくても、どこかで見たこともあるのではと思います。
安曇野市から、北安曇郡の池田町と松川村、大町市、北安曇郡白馬村にかけての一帯は「安曇野アートライン」と呼ばれ、20余りの美術館や博物館が存在する「アートな地域」です。観光案内所などにはそのパンフレットも置いてありますから、ぜひ入手してください。共通の割引券も付いていますので、安曇野一帯でアートに触れたい方には必携です。
マルク・シャガールの世界的コレクションで知られる高知県立美術館ほどの収蔵数(約1200点)はないものの、白馬美術館はシャガールの専門の美術館で、収蔵作品数は約480点、常時120~150点を展示している美術館です。
シャガールの専門美術館が、自分の住むところから車で約1時間のところにあるというだけでも、安曇野に住むようになって嬉しいことのひとつです。冬期は閉館となりますが、シャガールを常設展示している美術館が近くにあるなんて、贅沢なことかもしれません。
白馬駅の正面の道を登り、ジャンプ台を望みながら森の中の道を進みます。紅葉に染まった白馬山麓の静かな森の中、ラフォーレ倶楽部 ホテル白馬八方の隣に白馬美術館があります。
入り口には、「白馬美術館/シャガール版画コレクション」とあるのに、同行した母は、鑑賞しながら版画だけなの?と申しておりました(笑)。リトグラフや木版画が中心です。
※リトグラフ:石版画。版材(石または亜鉛板・アルミニウム板)の表面をよく磨き、石版用クレヨンで絵を描く。その上に少量の硝酸を入れたアラビアゴム溶液を流す。版面が乾いてから余分な溶液を水で拭き取り、石版プレスにかけて、ローラーで印刷する版画で、他の版形式と比べて最も描画的な表現が可能。
入館すると、最初に案内されるのは「映像展示室」です。といっても、シャガールの映像作品が展示されているわけではなく、シャガールの生涯とともに彼の代表作を紹介する映像が上映されます。シャガールのことを知らない方でも、作品を鑑賞するうえで、シャガールを一夜漬けならぬ「約20分超浅漬」で知ることができる内容です。
さて、シャガールと彼の作品の特徴などを映像で即席勉強したら、「銅版画展示室」へ入ってにわかシャガール評論家気分で鑑賞しましょう!
回廊の反対側には、この寒さでも平気な若い女性がいました(笑)。
映像展示室から銅版画展示室に向かう回廊は「屋外」なので、冠雪した白馬三山からの冷気でブルブル、寒っ!
銅版画展示室は音楽室にもなっていて、ステージが設けられており、グランドピアノが置かれていました。ミニコンサートができそうです。ガラス越しに作品が見えます。
シャガールの作品の多くは、個々のモチーフは現実に存在するものですが、色や形を変えそれを自由に組み合わせて、夢のような世界を描き出しています。また、作品には生まれ故郷のヴィテブスクの風景や、牛や鳥、そこに暮らす人々などが頻繁に登場します。シャガールの格別な望郷の想いが感じられます。
パリに留学していた頃に影響を受けたフォービズム(=野獣主義、①赤青緑黄の4原色を多用、②単純化・強烈なタッチ、③従来のリアリズムの原則、④主情主義、マティス、ルオー、ブラマンク、トラン、ディフィに代表される)や、キュービズム(=立体主義、「近代絵画の父」セザンヌの絵画思想がきっかけ、①物を基本形に分解してそれを別な画面として再構成《=トランスフォルマシオン、原型が残らない》、②物の恒常的な状態《本質》を把握して物を多角的に観察しそれを同時に表現する、ピカソ、ブラック、ドラン、レジェが代表的)の影響を受けた作品を興味深く鑑賞しました。(※この説明は、私の高校時代の小林先生の講義をメモったノートからのものですが、栃木県立美術館に収蔵されている先生の油絵も、やはり「キュービズム」の影響を受けています、笑)
先ほどの回廊を戻り、本館展示室へ。銅版画展示室には小さめの作品が展示されていましたが、こちらにはもう少し大きい作品も展示されています。最愛の妻ベラと暮らした日々の作品と、彼女が亡くなった後の作品、そして再婚後の作品には違った作風が感じられ、興味深く鑑賞できます。
そちらを出ると、お約束の「ミュージアムショップ」です。
それにしても、日本人というのは、本当におみやげを買うのが好きな人種ですね。私なんて、なにも買わ……風呂敷を1枚買いました(笑)。2013と入っていましたから、その年に各地で開催された展覧会の残り物かもしれません。もれなくついてくるといわれる「福」も、この風呂敷で包めるかと買い求めました。
外へ出ると、真っ青な秋空です。黄葉した葉っぱはすでに散り始め、白馬の森の樹々は冬支度を始めていました。
マルク・シャガール(Marc Chagall, 1887年7月7日 - 1985年3月28日)
1887年7月7日、帝政ロシア領ヴィテブスク(現ベラルーシ・ヴィツェプスク)で9人兄弟の長男として生まれました。故郷ヴィテブスクは人口の大部分をユダヤ人が占め、シャガール自身もユダヤ系です。生涯、妻のベラ・ローゼンフェルトを一途に敬愛していたこと、ベラへの愛や結婚をテーマとした作品を多く製作していることから別名「愛の画家」と呼ばれています。
シャガールは1910年パリに赴き、5年間の滞在の後、故郷へ戻ります。この最初のパリ時代の作品にはキュビスムやフォビズムの影響が見られます。1915年にベラと結婚、10月革命(1917年)後のロシアでしばらく生活しますが、1922年、故郷に見切りをつけて、1923年にはふたたびパリへ戻ります。 ロシア時代のシャガールはロシア・アバンギャルドに参加して構成主義の影響の濃い作品、デザイン的作品を制作しましたが、出国後の作品は「愛」の方への傾斜が認められます。
1941年、第二次世界大戦の勃発を受け、ナチスの迫害を避けてアメリカへ亡命、妻ベラ・ローゼンフェルトは1944年にアメリカで病死しました。1947年にパリへ戻ったシャガールは、1950年から南フランスに永住することを決意し、フランス国籍を取得します。1952年、当時60歳代のシャガールはユダヤ人女性ヴァランティーヌ・ブロツキーと再婚しました。
またシャガールは毒舌家としても知られ、同時代の画家や芸術運動にはシニカルな態度を示していました。特にピカソに対しては極めて辛辣な評価を下しています。
(ウィキペディアより、抜粋・加筆編集)
白馬美術館
住所:長野県北安曇郡北城みそらの別荘地内
TEL:0261-72-6084
入館料:大人=700円、小中生=400円
ホテル白馬八方に宿泊すると大人=400円、小人=200円に
開館日:今年は11月1日まで
※冬季クローズとなります。
開館時間:9:30~17:30(最終入館16:30)
休館日:水曜日、臨時休館日あり
アクセス:豊科ICから約45Km 約1時間、長野ICから約50Km 約1時間、糸魚川ICから約48Km 約1時間
HP:http://www.laforet.co.jp/hakuba/museum/
ラフォーレ倶楽部 ホテル白馬八方
HP:http://www.laforet.co.jp/hakuba/
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